2019年12月17日火曜日

『オーパ!』開高 健 著・ 高橋 昇 写真

アマゾン川の釣りルポ。

本書は、『PLAYBOY』誌の企画で開高 健 氏がアマゾン川で釣りをして書いたルポ・紀行文・エッセイである。

「オーパ!」とは、現地の言葉で驚いた時に口に出る「わお!」や「おやまあ!」みたいな言葉で、アマゾン川は兎にも角にも驚異に満ちている。世界最大の淡水魚ピラルクー、ほとんど神のごとく偏在している猛魚ピラーニャ、驚異的な引きが楽しめる黄金の魚トラド、アマゾン川は全てが桁外れであり、そしてそこに生きる文化も極端で豪放磊落であり、時に神話的ですらある。

本書は、基本的には釣りの体験記である。どこそこに行って何をどうして釣った、ということが書かれる。ただし、餌がなんだとか、仕掛けがどうしたというような細かい話は出ない。むしろ釣りをする中で著者が体験した「驚異」を中心に話は進む。といってもアマゾンの自然誌を語ろうとするものでもないし、ブラジルの文化誌を述べようというのでもない。そうした大上段の見方を敢えて排して、身の丈に合った体験記に留めようとしているように見える。

しかしさすが文学者の著者だけあって、文章は非常に妙味がある。元来釣りの紀行文というものは文学の一角をなすものではあるが、これは恬淡とした日本の釣り文学とは全く違う、絢爛な新しい釣り文学であると感じた。

それにしても、かつては『PLAYBOY』誌がこうした企画を実行し得たということに、今となっては驚きを禁じ得ない。

桁外れの釣り紀行。

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