タイトルそのまま、農産物直売所をどう運営していくか、という本。
ただし内容は、農家数人が集まって自前で農産物直売所をオープンさせるということが中心で、例えば規約作り、店番の体制づくりといったことが述べられる。一方で、既にある直売所をどう盛り上げていくかといったような、いわば繁盛させるノウハウといったことはあまり書かれていない。それはいわば応用問題であるし、その店が置かれている状況次第で対応は千差万別にならざるを得ないから基本的テキストとしては十分な内容ではあると思う。
といっても、本書で述べることは、一度でも組織の中で働いたことがある人にとっては常識のようなことが多く、これまで組織で働くということを経験したことがない零細農家に、組織の運営を噛んで含めて教え諭すような調子のところがある。正直、その程度はさすがに農家でも分かってるんじゃないですか、と思う部分もあった。そういう所を簡素にして、運営の具体的なやり方に踏み込んだ方が(例示されている直売所の具体的運営方法を述べるなど) より役立つ本になったのではないかと思う。
個人的な興味は、既にある直売所をどう活用していくか、という視点で本書を読んだが、それに対するヒントはそんなに多くなかった。というより、ちゃんとしたリーダーを置き、組織の規律をしっかりとして、品物を切らさないようにし、出荷する農家がそれぞれ当事者意識をもって販売に当たり、情報発信やイベントを行うといったような経営の基本を着実にこなすということ以上に、重要なこともないのだと思う。
農産物直売所の運営について、良くも悪くも当たり前にやるべきことが書いてある本。
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