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筑摩 世界古典文学全集を読む
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筑摩 世界古典文学全集を読む
南薩日乗
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2021年6月20日日曜日
『破戒』島崎 藤村 著
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被差別部落出身の青年の苦悩を描く小説。 本書は、日本近代文学の重要作品として名高いものであるが、読むのが暗鬱な本である。 主人公の瀬川丑松は、被差別部落出身(穢多)であることは絶対に隠せという父の言いつけを守り、小学校教員になって生徒からも慕われるが、校長などからは生一本な性格が...
2021年6月16日水曜日
『ハプスブルク 記憶と場所——都市観相学の試み』トーマス・メディクス 著、三小田 祥久 訳
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ハプスブルク帝国の残滓を見つめる旅。 本書は、副題に「都市観相学の試み」とつけられているが、このような学問があるわけではないらしい。それは、観相学——すなわち顔立ちから内面を窺う技術——を都市に応用し、都市の相貌からその内面を覗いてみようというもののようだ。しかし本書は学問的とい...
『時代と人間』堀田 善衛 著
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「時代の観察者」を描く本。 本書は、「NHK人間大学 時代と人間」のテキストを単行本化したものである。その内容は、ある時代の中で活躍しつつも、それをどこか醒めた目で見つめた人々を紹介するというもので、鴨長明、藤原定家、法王ボニファティウス、モンテーニュ、ゴヤの6人が取り上げられて...
2021年6月4日金曜日
『「黄泉の国」の考古学』辰巳 和弘 著
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古墳時代のあの世観を推測する本。 古代、海沿いの崖にある自然の洞窟(海蝕洞窟)は、しばしば葬送の場所になった。そこでは海に向けて置かれた船形の木棺で葬られた場合が散見される。また、古墳に船形木棺が安置されることもたびたびあった。それは「舟葬(しゅうそう)」と呼ばれる葬送方法で、神...
2021年6月2日水曜日
『新編 大蔵経—成立と変遷』京都仏教各宗学校連合会編
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大蔵経の歴史を描く本。 大蔵経とは、仏教の経典や律・論書等、すなわち仏教のテキストの集成である。それはただテキストを集めたものではなく、大蔵経に編入(入蔵)するかどうかは、中国においては皇帝の勅許を必要としたほど権威ある集成であり、大蔵経は仏教テキストの正統にして最大のデータベー...
2021年5月15日土曜日
『世界古典文学全集 19 諸子百家』貝塚 茂樹 編
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諸子百家の思想の概観。 本書は、諸子百家の思想家の中から、墨子、荀子、管子、韓非子、孫子の5名を選んで、著作から主要な部分を日本語訳したものである。なお本書で収録されていない諸子百家(の主なもの)は、儒家本流(孔子・孟子)と道家(老子・荘子)である。 そもそも諸子百家とは春秋戦国...
2021年5月14日金曜日
『孫子』貝塚 茂樹 訳 (『世界古典文学全集 19 諸子百家』所収)
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孫子の思想。 本編は『孫子』の全訳である。『孫子』は思想書ではない。あくまで兵学書である。火攻めにする時はどうするかとか、どのような地形で攻めるべきか、退却するべきか、といったような戦いの細かい話もある。 ところが、諸子百家の様々な思想を読んでから『孫子』を読むと、これが紛れもな...
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