2014年6月27日金曜日

『ペクチン―その科学と食品のテクスチャー』真部 孝明 著

ペクチン―その科学と食品のテクスチャー (Food Technology)
ペクチンについての先行研究をまとめた本。

ペクチンは、食品のテクスチャー(固さ、食感など)を決める重要な物質だが、構造が複雑で植物ごとに千差万別な組成を持つこともあり、十分に解明が進んでいるとはいえない。であるから、食品製造業の現場においても、科学的というよりは職人の感的に扱われているきらいがある。

そこで、これまで分かっていることをまとめて、食品製造業やその基礎研究に携わる人への参考書にしてほしいというような意図を持って本書は執筆されている。

であるから、本書では膨大な先行研究(論文)が参照されて、これまで何がわかっていて、何がわかっていないのか、ということが示されるのであるが、その調子はやや羅列の感が強くとりとめのない箇所がある。軸足は基礎研究にあるので、ペクチンを食品製造の実際でどのように扱うべきかというテーマでまとめられていないのはしょうがないとしても、もう少し系統立った、すっきりした記述ができたのではないかと思う。

一方で、情報量は多いのでペクチンについての参考書としての価値は高く、ペクチンについて知りたいと思ったら必ず座右に置くべき本であると思う(というか類書もほどんどない)。数少ないペクチンの教科書・参考書。

※本書の内容については、別ブログ(南薩日乗)にも触れている。→「ペクチン」のお勉強

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